石川啄木
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大(だい)という字を百あまり 砂に書き 死ぬことをやめて帰り来(きた)れり 石川啄木…
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ふるさとの父の咳(せき)する度(たび)に斯(かく) 咳の出(い)づるや 病めばはかなし 石川啄木…
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いと暗き 穴に心を吸はれゆくごとく思ひて つかれて眠る 石川啄木…
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こみ合(あ)へる電車の隅(すみ)に ちぢこまる ゆふべゆふべの我のいとしさ 石川啄木…
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浅草(あさくさ)の夜(よ)のにぎはひに まぎれ入(い)り まぎれ出(い)で来(き)しさびしき心 石川啄木…
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鏡屋(かがみや)の前に来て ふと驚きぬ 見すぼらしげに歩(あゆ)むものかも 石川啄木…
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やはらかに積れる雪に 熱(ほ)てる頬(ほ)を埋(うづ)むるごとき 恋してみたし 石川啄木…
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かなしきは 飽(あ)くなき利己の一念を 持てあましたる男にありけり 石川啄木…
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腕(うで)拱(く)みて このごろ思ふ 大(おほ)いなる敵(てき)目の前に躍(をど)り出(い)でよと 石川啄木…
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こころよく 人を讃(ほ)めてみたくなりにけり 利己の心に倦(う)めるさびしさ 石川啄木…
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